2級ボイラー技士 2024年(R6)4月-問8 過去問の解説 【ボイラーの構造に関する知識】

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問題

ボイラーに空気予熱器を設置した場合の利点として、最も適切なものは次の うちどれか。

1.ボイラーへの給水温度が上昇する。
2.乾き度の高い飽和蒸気を得ることができる。
3.プライミングを防止することができる。
4.燃焼用空気の温度が上昇し、水分の多い低品位燃料の燃焼に有効である。
5.サーマルNOXの発生を抑えられる。

回答

正解は(4)

空気予熱器は、ボイラーの燃焼によって生じた排ガスが持つ熱を捨てずに回収し、燃焼用の空気をあらかじめ温める(予熱する)装置です。

1.ボイラーへの給水温度が上昇する。
→不適当
ボイラーへの給水温度を上昇させるのは、節炭器(エコノマイザ)の役割です。空気予熱器は、排ガスの熱を燃焼用空気に伝えます。

エコノマイザについては令和4年4月問9参照

2.乾き度の高い飽和蒸気を得ることができる。
→不適当
蒸気の乾き度を高くする機能は、気水分離器の役割です。

貫流ボイラー
出典:仙台市ガス局

気水分離器:ボイラーから発生した蒸気に含まれる水滴を分離・除去して、蒸気の乾燥度を高めるための装置です。装置は配管に設置され、気水分離器を通過することで水滴が取り除かれ、乾き度の高い蒸気が得られます。

3.プライミングを防止することができる。
→不適当
プライミングとは、ボイラー水が激しく沸騰して水滴や泡が蒸気に混入する現象で、急激な負荷変動や水位の過昇が主な原因です。これを防止するには、気水分離器などの設置が必要です。

4.燃焼用空気の温度が上昇し、水分の多い低品位燃料の燃焼に有効である。
→正しい
空気予熱器は、ボイラーの排ガスが持つ熱を利用して、燃焼用空気を事前に加熱します。空気温度の上昇は燃焼効率を高め、特に水分の多い低品位燃料を使用する場合、燃料中の水分を蒸発させるのを助けるため、安定した燃焼を維持するのに非常に有効です。

5.サーマルNOxの発生を抑えられる。
→不適当
空気予熱器によって燃焼用空気の温度が上昇すると、燃焼温度も高くなります。燃焼温度が高くなると、大気中の窒素が酸化されて発生するサーマルNOxの生成が促進されてしまいます。

サーマルNOxは、燃焼によって発生する窒素酸化物(NOx)の一種です。燃料に含まれる窒素ではなく、燃焼用の空気中に含まれる窒素が、高温の燃焼雰囲気で酸素と反応して生成されます。

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