2級ボイラー技士 2024年(R6)4月-問4 過去問の解説 【ボイラーの構造に関する知識】

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問題

ボイラー各部の構造及び強さについて、適切でないものは次のうちどれか。

1.胴板には、内部の圧力によって引張応力が生じる。
2.薄肉円筒で胴板の厚さが同じ場合、周方向の引張応力は軸方向の引張応力の2倍である。
3.だ円形のマンホールを胴に設ける場合には、短径部を胴の軸方向に配置する。
4.波形炉筒は、平形炉筒に比べ、熱による炉筒の伸縮を吸収でき、外圧に対する強度も高い。
5.炉筒は、鏡板で拘束されているため、燃焼ガスによって加熱されると炉筒板内部に引張応力が生じる。

回答

正解は(5)

1.胴板には、内部の圧力によって引張応力が生じる。
→正しい
ボイラーの胴は、内部の蒸気や水の圧力によって膨張しようとする力が働き、引き伸ばされる応力(引張応力)が生じています。

2.薄肉円筒で胴板の厚さが同じ場合、周方向の引張応力は軸方向の引張応力の2倍である。
→正しい
ボイラーの円筒胴の内部には、水圧によって周方向(円周方向)と長手方向(軸方向)の2種類の引張応力が発生します。
このうち、胴の円周を広げようとする周方向にかかる応力は、胴の両端を引き伸ばそうとする長手方向(軸方向)にかかる応力の約2倍となります。

3.だ円形のマンホールを胴に設ける場合には、短径部を胴の軸方向に配置する。
→正しい
選択肢2でも説明しましたが、ボイラーの胴にかかる応力は、周方向応力(横方向)が最も大きく、軸方向応力(縦方向)はその半分です。
応力が最も大きい周方向の負荷をできるだけ小さくするため、だ円形のマンホールを設ける際は、短径(幅の狭い部分)を最も大きな応力がかかる周方向(胴の軸と垂直な方向)に配置し、長径(幅の長い部分)軸方向(胴の軸に平行な方向)に配置します。

4.波形炉筒は、平形炉筒に比べ、熱による炉筒の伸縮を吸収でき、外圧に対する強度も高い。
→正しい
波形炉筒(波形に加工された炉筒)は、波形にすることで熱による伸び縮みを吸収する柔軟性を持ち、また、外圧に対する強度も高いです。さらに波形にすることで伝熱面積を多くとれるというメリットもあります。
当然ですが、製作コストは平形炉筒よも高くなります。
※波形炉筒は金属の蛇腹をイメージすると良いです。

波形炉筒のイメージ
(実物ではありません)

5.炉筒は、鏡板で拘束されているため、燃焼ガスによって加熱されると炉筒板内部に引張応力が生じる。
→不適当
炉筒は燃焼ガスによって加熱されると、膨張しようとします。しかし、炉筒の両端は比較的温度の低い鏡板(ボイラーの両端の蓋)によって拘束されています。この拘束により、炉筒は膨張を妨げられ、炉筒板の内部には圧縮応力(押しつぶす方向の力)が生じます。
したがって、「引張応力が生じる」という記述は誤りです。

ボイラーの鏡板の種類
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