2級ボイラー技士 2024年(R6)4月-問1 過去問の解説 【ボイラーの構造に関する知識】

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問題

伝熱について、適切でないものは次のうちどれか。

1.伝熱作用は、熱伝導、熱伝達及び放射伝熱の三つに分けることができる。
2.温度が一定でない物体の内部で、温度の高い部分から低い部分へ、順次、熱が移動する現象を熱伝達という。
3.空間を隔てて相対している物体間に、熱が移動する現象を放射伝熱という。
4.固体壁を通して、高温流体から低温流体へ熱が移動する現象を熱貫流又は熱通過という。
5.熱貫流は、一般に熱伝達及び熱伝導が総合されたものである。

回答

正解は(2)

1.伝熱作用は、熱伝導、熱伝達及び放射伝熱の三つに分けることができる。
→正しい
熱の移動は、この三つの形態に分類されます。

  1. 熱伝導
    • 現象:温度が異なる物体内部や、互いに接触している固体間で熱が移動する現象。
    • 特徴:熱が移動する際に、物質そのものは移動しません。物質を構成する分子や自由電子の運動エネルギーが、順次、隣の分子や電子に伝わることで熱が移動します。
    • :金属の棒の片側を熱すると、反対側も熱くなる現象。
  2. 熱伝達
    • 現象固体壁とそれに接する流体(液体や気体)の間で熱が移動する現象。
    • 特徴:熱の移動に加えて、流体(物質)の移動が伴います。
    • :ボイラー内で燃焼ガスから伝熱管内の水へ熱が移動する現象。
  3. 放射伝熱
    • 現象電磁波(主に赤外線)の形で熱エネルギーが移動する現象です。
    • 特徴間に物質(媒体)を必要としません。物体が持つ温度(絶対温度)によって熱放射の強さが決まります。
    • :太陽の熱が真空中を伝わって地球に届く現象。火の前に立ったときに、暖かさを感じる現象。

2.温度が一定でない物体の内部で、温度の高い部分から低い部分へ、順次、熱が移動する現象を熱伝達という。
→不適当
この現象は熱伝導の定義です。熱伝達は、流体(液体や気体)が固体壁に接している場合に、その固体壁と流体との間で熱が移動する現象を指します。(選択肢1の解説参照)

3.空間を隔てて相対している物体間に、熱が移動する現象を放射伝熱という。
→正しい
放射伝熱(熱放射)は、間に物質がなくても、電磁波(赤外線など)の形で熱が移動する現象です。(選択肢1の解説参照)

4.固体壁を通して、高温流体から低温流体へ熱が移動する現象を熱貫流又は熱通過という。
→正しい
熱貫流は、高温流体から固体壁への熱伝達、固体壁内部の熱伝導、固体壁から低温流体への熱伝達という一連の流れで熱が移動する現象の総称です。
以下の画像は夏季における屋外から屋内への熱の移動のイメージです。
暑い屋外の熱が、建物の壁に対して熱伝達で移動し、壁の内部では熱伝導によって熱が移動します。そして、壁から室内には熱伝達によって熱が移動しています。
このように壁の内部を熱が通過することから、「熱通過」とも呼ばれています。

5.熱貫流は、一般に熱伝達及び熱伝導が総合されたものである。
→正しい
熱貫流は、壁を隔てた流体間の熱移動であり、「熱伝達」と「熱伝導」が組み合わされた現象です。(選択肢4の解説参照)

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