2級ボイラー技士 2024年(R6)10月-問9 過去問の解説 【ボイラーの構造に関する知識】

  • URLをコピーしました!

問題

ボイラーのエコノマイザについて、適切でないものは次のうちどれか。

1.エコノマイザは、煙道ガスの余熱を回収して、給水の予熱に利用する装置である。
2.エコノマイザの種類には鋼管形と鋼板形があり、エコノマイザ管には、平滑管やひれ付き管が用いられる。
3.エコノマイザを設置すると、ボイラー効率を向上させ、燃料が節約できる。
4.エコノマイザを設置すると、通風抵抗が多少増加する。
5.エコノマイザを設置すると、燃料の性状によっては低温腐食を起こすことがある。

回答

正解は(2)

エコノマイザ(節炭器)は、ボイラーの排ガスの熱を利用して給水をあらかじめ温める装置です。 ボイラーで燃料を燃やすと、燃焼ガスとして熱が排出されます。この排ガスにはまだ多くの熱が残っているため、そのまま捨てると効率が下がってしまいます。
エコノマイザは、この熱い排ガスが流れる通路(煙道)の中に、給水を通す管(エコノマイザ管)を設けることで、排ガスの熱を水に移し、給水温度を効率よく上げる仕組みになっています。

1. エコノマイザは、煙道ガスの余熱を回収して、給水の予熱に利用する装置である。
→正しい
エコノマイザは、ボイラーから出る高温の排ガス(煙道ガス)に含まれる熱エネルギーを利用して、ボイラーに供給する給水をあらかじめ加熱する装置です。これにより、ボイラー本体で必要な加熱量が減り、燃料の節約とボイラー効率の向上につながります。

2. エコノマイザの種類には鋼管形と鋼板形があり、エコノマイザ管には、平滑管やひれ付き管が用いられる。
→不適当
エコノマイザの種類には鋳鉄管形と鋼管形があり、一般的には鋼管形が用いられます。(鋼板形は無い)
なお、エコノマイザ管には、平滑管や、伝熱面積を増やすためのひれ付き管が用いられる点は合っています。
以下はひれ付き管の写真です。ひれ付き管は、配管の周りに薄い金属の板が無数についており、これにより伝熱面積を増やし熱を効率的に回収しています。

出典:ZHANGJIAGANG HUA DONG ENERGY TECHNOLOGY 

3. エコノマイザを設置すると、ボイラー効率を向上させ、燃料が節約できる。
→正しい
エコノマイザで給水を予熱することで、ボイラー本体での加熱に必要な燃料が減り、全体の熱効率が向上します。

ヘタ・レイ

本来捨てるはずだった排ガスの熱を利用しているわけですから、効率が上がるのは当然ですよね!

4. エコノマイザを設置すると、通風抵抗が多少増加する。
→正しい
エコノマイザは伝熱管(給水が通る管)をボイラーの排ガスの通路(煙道)内に多数設置する構造のため、当然ですが何も無いときと比べて排ガスの通風抵抗も多少増加します。

5. エコノマイザを設置すると、燃料の性状によっては低温腐食を起こすことがある。
→正しい
給水などでエコノマイザの伝熱面が低温になると、排ガス中の硫黄分などが原因で低温腐食が発生することがあります。

ヘタ・レイ

試験ではそんな難しいことは聞かれませんので、エコノマイザ=低温で腐食するとだけ覚えておけば十分です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次