2級ボイラー技士 2024年(R6)10月-問7 過去問の解説 【ボイラーの構造に関する知識】

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問題

ボイラーの送気系統装置について、適切でないものは次のうちどれか。

1.主蒸気弁に用いられる仕切弁は、蒸気の流れが弁体内でY字形になるため抵抗が小さい。
2.主蒸気弁に用いられる玉形弁は、蒸気の流れが弁体内部でS字形になるため抵抗が大きい。
3.沸水防止管は、気水分離器の一種で、低圧ボイラーの蒸気取出し口の下の胴内に設ける。
4.主蒸気管の配置に当たっては、曲がり部に十分な半径を持たせ、ドレンのたまる部分がないように傾斜を付けるとともに、要所に蒸気トラップを設ける。
5.2基以上のボイラーが蒸気出口で同一管系に連絡している場合は、一般に、主蒸気弁の後に蒸気逆止め弁を設ける。

回答

正解は(1)

1.主蒸気弁に用いられる仕切弁は、蒸気の流れが弁体内でY字形になるため抵抗が小さい。
→不適当
仕切弁(ゲート弁)は、弁体を完全に引き上げて蒸気の流れを直線にするため、流れの抵抗が最も小さいのが特徴です。「蒸気の流れが弁体内でY字形になる」のは、Y形弁の特徴です。
以下は各種弁のイメージです。仕切弁は弁体(流体の進行を防ぐもの)を上げた時に、管路の流れを邪魔するものが無いため抵抗が一番小さくなります。

仕切り弁
出典:富士電機
各種弁
出典:総合バルブコンサルタント

2.主蒸気弁に用いられる玉形弁は、蒸気の流れが弁体内部でS字形になるため抵抗が大きい。
→正しい
玉形弁(グローブ弁)は弁体が流路の中央に位置し、弁を全開にしても流体は弁体を避けてS字状に流れるため、流体抵抗が大きくなります。
その反面、流量の微調整が得意です。

玉型弁(抵抗大)
出典:富士電機

3.沸水防止管は、気水分離器の一種で、低圧ボイラーの蒸気取出し口の下の胴内に設ける。
→正しい
沸水防止管とは、ボイラー内で発生した蒸気に含まれる水滴(沸水)を分離し、良質な蒸気を供給するための装置です。
低圧ボイラーの蒸気取出し口の下に設けて、蒸気のみを主蒸気弁側に送り、分離した水滴はボイラー水に戻します。

4.主蒸気管の配置に当たっては、曲がり部に十分な半径を持たせ、ドレンのたまる部分がないように傾斜を付けるとともに、要所に蒸気トラップを設ける。
→正しい
主蒸気管では、蒸気が冷えることで生じるドレン(凝縮水)をスムーズに排出するため、配管の曲がりは緩やかにし、ドレンが自然に流れるように傾斜を付け、溜まったドレンを自動的に排出する蒸気トラップを設置します。

5.2基以上のボイラーが蒸気出口で同一管系に連絡している場合は、一般に、主蒸気弁の後に蒸気逆止め弁を設ける。
→正しい
複数のボイラーが並列運転している場合、あるボイラーの圧力が低下すると、他のボイラーから蒸気が逆流する可能性があります。これを防ぐために、主蒸気弁の後の系統側に蒸気逆止め弁を設ける必要があります。

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