問題
ボイラー各部の構造及び強さについて、誤っているものは次のうちどれか。
| 1. | 皿形鏡板は、球面殻、環状殻及び円筒殻から成っている。 | ||
| 2. | 胴と鏡板の厚さが同じ場合、圧力によって生じる応力について、胴の周継手は長手継手より2倍強い。 | ||
| 3. | 皿形鏡板に生じる応力は、すみの丸みの部分において最も大きい。この応力は、すみの丸みの半径が大きいほど大きくなる。 | ||
| 4. | 平鏡板の大径のものや高い圧力を受けるものは、内部の圧力によって生じる曲げ応力に対して、強度を確保するためステーによって補強する。 | ||
| 5. | 管板には、煙管のころ広げに要する厚さを確保するため、一般に平管板が用いられる。 |
回答
正解は(3)
1. 皿形鏡板は、球面殻、環状殻及び円筒殻から成っている。
→ 正しい
鏡板は、ボイラー胴の両端に配置される部材です。皿形鏡板では、中央の「球面殻」、その周囲の「環状殻」、そして胴部と接続する「円筒殻」の三つの部分で構成されています。

2. 胴と鏡板の厚さが同じ場合、圧力によって生じる応力について、胴の周継手は長手継手より2倍強い。
→ 正しい
まず下の図を見てください。

ボイラーの円筒胴の内部には、水圧によって周方向(円周方向)と長手方向(軸方向)の2種類の引張応力が発生します。
このうち、胴の円周を広げようとする周方向にかかる応力は、胴の両端を引き伸ばそうとする長手方向にかかる応力の約2倍となります。
そのため、「長手方向の応力」に耐える周継手は、「周方向の応力」に耐える長手継手の2分の1の応力がかかるということになります。
つまり、問題文にあるように同じ強度の継手であれば、周継手のほうが応力に対して2倍強いということになります。
ヘタ・レイこの問題の文章は良くないですね。
ようは、周方向にかかる応力のほうが、長手方向にかかる応力よりも2倍も強いので、それに耐えるために長手継手は周継手の2倍にしろってことです。
3. 皿形鏡板に生じる応力は、すみの丸みの部分において最も大きい。この応力は、すみの丸みの半径が大きいほど大きくなる。
→ 不適当
皿形鏡板のすみの丸みの部分(環状殻部)は、応力集中が生じやすい部分です。
この応力ですが、環状部分の丸みが大きいほど緩和され小さくなります。逆に丸みが小さくなる(直角に近づく)と応力は大きくなっていきます。
したがって、「半径が大きいほど応力が大きくなる」は誤りです。



要は、ボイラーの角っこの部分は丸みを覚えている方が強度が強いということです!


4. 平鏡板の大径のものや高い圧力を受けるものは、内部の圧力によって生じる曲げ応力に対して、強度を確保するためステーによって補強する。
→ 正しい
平鏡板は、各種鏡板の中でも強度が弱く、内部の圧力よって変形しやくなります。そのため、ステー(補強材)を取り付けて強度を高める必要があります。
5. 管板には、煙管のころ広げに要する厚さを確保するため、一般に平管板が用いられる。
→ 正しい
炉筒煙管ボイラーのように煙管を取り付ける鏡板のことを管板といいます。管板には、無数の穴が開いておりそこに煙管を差し込むのですが、ただ差し込んだだけだと隙間が出来てしまいますので、管の径を広げて隙間を埋めます。
これを「ころ広げ」といい、管板にはこの加工に耐える十分な厚さが求めらるため、厚みのある平管板(平鏡板)が使われます。

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