2級ボイラー技士 2023年(R5)4月-問10 過去問の解説【ボイラーの構造に関する知識】

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問題

ボイラーの自動制御について、誤っているものは次のうちどれか。

1.シーケンス制御は、あらかじめ定められた順序に従って、制御の各段階を、順次、進めていく制御である。
2.オンオフ動作による蒸気圧力制御は、蒸気圧力の変動によって、燃焼又は燃焼停止のいずれかの状態をとる。
3.ハイ・ロー・オフ動作による蒸気圧力制御は、蒸気圧力の変動によって、高燃焼、低燃焼又は燃焼停止のいずれかの状態をとる。
4.比例動作による制御は、偏差の大きさに比例して操作量を増減するように動作する制御である。
5.微分動作による制御は、偏差が変化する速度に比例して操作量を増減するように動作する制御で、PI動作ともいう。

回答

正解は(5)

1. シーケンス制御は、あらかじめ定められた順序に従って、制御の各段階を、順次、進めていく制御である。
→正しい
シーケンス制御とは、「点火 → 燃焼 → 停止」などの一連の動作を、各条件に従って順次行う制御です。条件を満たさない場合は、その時点で制御を停止します。これをインタロックといい、インタロックが働いたあとは手動で原因を改善する必要があります。

2. オンオフ動作による蒸気圧力制御は、蒸気圧力の変動によって、燃焼又は燃焼停止のいずれかの状態をとる。
→正しい
オンオフ制御は、設定した圧力の上下限に応じて燃焼を完全にオンまたはオフに切り替える単純な制御方式です。圧力が上限に達すると燃焼を停止し、下限に達すると再び燃焼を開始します。
例えば、圧力が10段階あったとして、8が上限値、4が下限値だったとします。このとき、圧力が上限値である8を超えたら燃焼を停止します。すると圧力が徐々に下がっていき、下限値である4を下回ったら燃焼を再開します。
この上限と下限の間隔を「動作すき間」といいます。オンオフ動作の基本なので覚えておきましょう。

3. ハイ・ロー・オフ動作による蒸気圧力制御は、蒸気圧力の変動によって、高燃焼、低燃焼又は燃焼停止のいずれかの状態をとる。
→正しい
ハイ・ロー・オフ制御は、燃焼を高燃焼・低燃焼・停止の3段階で制御します。圧力の変動に応じて燃焼量を段階的に切り替えるため、先ほどのオンオフ動作よりも安定した圧力制御ができます。

4. 比例動作による制御は、偏差の大きさに比例して操作量を増減するように動作する制御である。
→正しい
比例動作とは、制御量と目標値との間の「偏差(ズレ)」の大きさに比例して操作量(ボイラーなら燃料供給量など)を変化させる制御方式です。
偏差が大きいほど、操作量を大きく、偏差が小さいほど、操作量を小さくすることで、目標値に近づけるように制御します。この方式は「P動作」とも呼ばれます。

5. 微分動作による制御は、偏差が変化する速度に比例して操作量を増減するように動作する制御で、PI動作ともいう。
→不適当
微分動作は「偏差の変化の速さ」に応じて制御量を出す制御方式で、D動作ともいいます。
PI動作とは、「比例(P)+積分(I)」による制御であって、微分(D)は含まれません。
したがって、「微分動作 = PI動作」としているのは誤りです。

P、D、I動作まとめ
  • P動作(比例動作):偏差の大きさに比例して操作量を変える
  • I動作(積分動作):偏差の時間的積分に比例して操作量を変える
    ⇒比例動作(P)と組み合わせて比例積分動作(PI)として使う
  • D動作(微分動作):偏差が変化する速度に比例して操作量を変える
    ⇒比例積分動作(PI)と組み合わせて、比例積分微分動作(PID)として使う
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