問題
ボイラーに用いられるステーについて、適切でないものは次のうちどれか。
| 1. | 平鏡板は、圧力に対して強度が弱く変形しやすいので、大径のものや高い圧力を受けるものはステーによって補強する。 | ||
| 2. | 管ステーは、煙管よりも肉厚の鋼管を管板に溶接又はねじ込みによって取り付ける。 | ||
| 3. | 管ステーを火炎に触れる部分にねじ込みによって取り付ける場合には、焼損を防ぐためねじ込み後に、ころ広げをして完了とする。 | ||
| 4. | ガセットステーは、平板によって鏡板を胴で支えるもので、溶接によって取り付ける。 | ||
| 5. | ガセットステーは、熱応力を緩和するため、鏡板にブリージングスペースを設けて取り付ける。 |
回答
正解は(3)
1.平鏡板は、圧力に対して強度が弱く変形しやすいので、大径のものや高い圧力を受けるものはステーによって補強する。
→正しい
平鏡板は、その形状から圧力に対する強度が非常に弱く、特に大径で高い内圧を受けると大きく膨らんだり変形したりする危険性があります。そのため、破裂や変形を防ぎ安全性を確保するために、ステーと呼ばれる補強材を鏡板の裏側に取り付け、補強するのが一般的です。
鏡板の形状は、平鏡板のほかに、圧力に対して強い皿形鏡板などがあります。曲面を持つ鏡板(全半球形鏡板など)は、平鏡板よりも強度が高いため、ステーによる補強を必要としない場合が多いです。

2.管ステーは、煙管よりも肉厚の鋼管を管板に溶接又はねじ込みによって取り付ける。
→正しい
管ステーは、ボイラーの強度を上げる目的で一般に通常の煙管より肉厚な鋼管が使われ、管板へ溶接またはねじ込みで取り付けます。

3.管ステーを火炎に触れる部分にねじ込みによって取り付ける場合には、焼損を防ぐためねじ込み後に、ころ広げをして完了とする。
→不適当
正しくは「ころ広げ」をしたあとに端部を「縁曲げ」するです。
「ころ広げ」とは管板に穴を開けてそこに煙管を挿入した後、煙管の管径を広げて隙間をなくすことです。
しかし、これだけでは焼損を防ぐ手段としては足りず、さらに管ステーが管板から突き出た端部を「縁曲げ」する必要があります。
4.ガセットステーは、平板によって鏡板を胴で支えるもので、溶接によって取り付ける。
→正しい
ガセットステーは板状の補強部材で、鏡板を胴で支える目的で溶接等により取り付けられます。
なお、炉筒も鏡板もボイラーの熱により伸縮するため、その伸縮を逃がすためにガセットステーの取り付け部と炉筒の間に隙間(ブリージングスペース)を設けます。

5.ガセットステーは、熱応力を緩和するため、鏡板にブリージングスペースを設けて取り付ける。
→正しい
選択肢4の解説参照
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