2級ボイラー技士 2022年(R4)4月-問9 過去問の解説 【ボイラーの構造に関する知識】

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問題

ボイラーのエコノマイザについて、誤っているものは次のうちどれか。

1.エコノマイザ管には、平滑管やひれ付き管が用いられる。
2.エコノマイザを設置すると、ボイラーへの給水温度が上昇する。
3.エコノマイザには、燃焼ガスにより加熱されたエレメントが移動し、給水を予熱する再生式のものがある。
4.エコノマイザを設置すると、通風抵抗が多少増加する。
5.エコノマイザは、燃料の性状によっては低温腐食を起こすことがある。

回答

正解は(3)

エコノマイザ(節炭器)は、ボイラーの排ガスの熱を利用して給水をあらかじめ温める装置です。 ボイラーで燃料を燃やすと、燃焼ガスとして熱が排出されます。この排ガスにはまだ多くの熱が残っているため、そのまま捨てると効率が下がってしまいます。
エコノマイザは、この熱い排ガスが流れる通路(煙道)の中に、給水を通す管(エコノマイザ管)を設けることで、排ガスの熱を水に移し、給水温度を効率よく上げる仕組みになっています。

1. エコノマイザ管には、平滑管やひれ付き管が用いられる。
→正しい
エコノマイザの伝熱管には、平滑な管や、伝熱面積を増やすためのひれ付き管が使われます。
以下はひれ付き管の写真です。配管の周りに、薄い金属の板が無数についており、これにより伝熱面積を増やし熱を効率的に回収しています。

出典:ZHANGJIAGANG HUA DONG ENERGY TECHNOLOGY 

2. エコノマイザを設置すると、ボイラーへの給水温度が上昇する。
→正しい
エコノマイザは排ガスの熱で給水を加熱するため、給水温度が上昇します。

3. エコノマイザには、燃焼ガスにより加熱されたエレメントが移動し、給水を予熱する再生式のものがある。
→不適当
エコノマイザ(節炭器)は、給水を温めるための熱交換器ですが、伝熱方式は給水が流れる管を隔てて熱交換を行います。
問題文は空気予熱器の再生式の説明で、燃焼ガスにより加熱されたエレメント(薄い金属板を加工したもの)が移動(回転)し、熱を間接的に伝える方式となっています。
なお、空気予熱器にも伝熱管を利用した熱交換式も存在します。

ヘタ・レイ

エコノマイザには「こんな方式なんて無いよ」ってことです。

空気予熱器で燃焼用空気を事前に温めておくことで、燃料がよりよく燃え、燃焼効率が向上します。結果として燃料消費が節約できます。

4. エコノマイザを設置すると、通風抵抗が多少増加する。
→正しい
エコノマイザは伝熱管(給水が通る管)をボイラーの排ガスの通路(煙道)内に多数設置する構造のため、当然ですが何も無いときと比べて排ガスの通風抵抗も多少増加します。

5. エコノマイザは、燃料の性状によっては低温腐食を起こすことがある。
→正しい
給水などでエコノマイザの伝熱面が低温になると、排ガス中の硫黄分などが原因で低温腐食が発生することがあります。

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