問題
ボイラーの給水系統装置について、適切でないものは次のうちどれか。
| 1. | ディフューザポンプは、羽根車の周辺に案内羽根のある遠心ポンプで、高圧のボイラーには多段ディフューザポンプが用いられる。 | ||
| 2. | 渦巻ポンプは、羽根車の周辺に案内羽根のない遠心ポンプで、一般に低圧のボイラーに用いられる。 | ||
| 3. | 給水加熱器には、一般に加熱管を隔てて給水を加熱する熱交換式が用いられる。 | ||
| 4. | 給水弁と給水逆止め弁をボイラーに取り付ける場合は、ボイラーに近い側に給水弁を取り付ける。 | ||
| 5. | 給水内管は、一般に長い鋼管に多数の穴を設けたもので、胴又は蒸気ドラム内の安全低水面よりやや上方に取り付ける。 |
回答
正解は(5)
1. ディフューザポンプは、羽根車の周辺に案内羽根のある遠心ポンプで、高圧のボイラーには多段ディフューザポンプが用いられる。
→正しい
ディフューザポンプは案内羽根(ディフューザ)を持つ遠心ポンプで、高圧のボイラーには多段ディフューザポンプが使われます。
以下の画像はディフューザポンプのイメージです。実際に回転するのは中央にある羽根車(A)で、そのまわりに案内羽根(B)という回転しない羽根を設けているのが特徴です。
これによって、流体を特定の経路に沿って導き、損失を減らし、効率を高めています。
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2. 渦巻ポンプは、羽根車の周辺に案内羽根のない遠心ポンプで、一般に低圧のボイラーに用いられる。
→正しい
渦巻ポンプは案内羽根を持たず、主に低圧ボイラー、中小容量ボイラーに使われています。
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3. 給水加熱器には、一般に加熱管を隔てて給水を加熱する熱交換式が用いられる。
→正しい
給水加熱器は、加熱管を隔てて給水と加熱媒体を分離する熱交換式が一般的です。
この「加熱管を隔てて給水を加熱する熱交換式」が一般的に使われる主な理由は、水質の汚染を防ぎ、ボイラー系統全体を保護するためです。給水加熱器では、給水を加熱するためにボイラーからの蒸気を使います。この蒸気には不純物が含まれている可能性があるため、給水を直接温めてしまうと、これからボイラー内に入る水が汚染されてしまいます。
そこで、加熱管を用いて間接的に加熱することで、ボイラー水の汚染を防いでいるわけです。
ヘタ・レイ同じく給水を加熱するのもにエコノマイザがありますが、あちらはボイラーから出てくる排ガスを熱源にして給水を温めています。
エコノマイザについては令和4年4月問4を参照
4. 給水弁と給水逆止め弁をボイラーに取り付ける場合は、ボイラーに近い側に給水弁を取り付ける。
→正しい
給水弁と給水逆止め弁をボイラーに取り付ける場合、ボイラー本体に最も近い側に給水弁を設け、その外側(給水側)に逆止め弁を設けます。
これは、仮に逆止め弁が故障した場合でも、給水弁を閉めておけばボイラーの中の水を残したまま逆止め弁の修理や交換ができるからです。


5. 給水内管は、一般に長い鋼管に多数の穴を設けたもので、胴又は蒸気ドラム内の安全低水面よりやや上方に取り付ける。
→不適当
給水内管は、ボイラー胴内または蒸気ドラム内の安全低水面よりもやや下に設置された穴あきの長い鋼管です。
問題文では、設置位置がやや上方となっているため、この選択肢が誤りとなります。
なぜ、やや下に設置するのかといいますと、
当たり前のことですが、ボイラーへ供給される給水は既にボイラー内部にある水と比べて温度が低いです。
もし給水を一ヶ所から集中してボイラー内に注入すると、その周辺の缶水やボイラーの金属部分が急激に冷やされ、大きな温度差が発生します。
この急激な温度変化によって、ボイラーの金属に熱応力が生じ、ひび割れや損傷の原因となります。
給水内管は、給水を長い管の多数の小さな穴からボイラー胴内の広い範囲に分散して供給します。これにより、冷たい水が少量ずつ、広範囲にゆっくりと混ざり合い、缶水や金属部の急激な温度低下を防ぐことができます。



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