2級ボイラー技士 2022年(R4)4月-問7 過去問の解説 【ボイラーの構造に関する知識】

  • URLをコピーしました!

問題

ボイラーの自動制御に関するAからDまでの記述で、誤っているもののみを全て挙げた組合せは、次のうちどれか。

A  ボイラーの状態量として設定範囲内に収めることが目標となっている量を操作量といい、そのために調節する量を制御量という。
B  ボイラーの蒸気圧力又は温水温度を一定にするように、燃料供給量及び燃焼用空気量を自動的に調節する制御を自動燃焼制御(ACC)という。
C  比例動作による制御は、オフセットが現れた場合にオフセットがなくなるように動作する制御である。
D  積分動作による制御は、偏差の時間積分値に比例して操作量を増減するように動作する制御である。

1.A、B、C
2.A、C
3.A、C、D
4.B、D
5.C、D

回答

正解は(2)

ボイラーの自動制御は、ボイラーを常に一定で安全な状態で運転するために、人間の代わりに各種の調節を自動で行う仕組みです。
主な目的は、蒸気や温水の需要変動に応じて、ボイラー内の圧力、温度、水位などを目標値(設定値)に保つことです。

A ボイラーの状態量として設定範囲内に収めることが目標となっている量を操作量といい、そのために調節する量を制御量という。
→不適当
この記述では、「制御量」と「操作量」の定義がになっています。

  • 制御量: 目標値(設定範囲)に収めることが目標となっている量。ボイラーでは、蒸気圧力水位蒸気温度などがこれにあたります。
  • 操作量: 制御量を目標値に近づけるために、調節する量。ボイラーでは、燃料供給量給水量燃焼用空気量などがこれにあたります。

したがって、「目標となっている量」が制御量、「調節する量」が操作量となるため、問題文は誤りです。
なお、制御量と操作量は以下のような組み合わせになっています。

制御量操作量
蒸気圧力燃料量と空気量
温水温度燃料量と空気量
空燃比(空気と燃料の比)燃料量と空気量
ボイラー水位給水量
炉内圧力排出ガス量
蒸気温度過熱低減器の注水量または過熱器の伝熱量

過熱低減器とは、ボイラーなどから発生する高温の過熱蒸気を、水などを噴射して蒸気流に注入することで温度を下げる装置

B ボイラーの蒸気圧力又は温水温度を一定にするように、燃料供給量及び燃焼用空気量を自動的に調節する制御を自動燃焼制御(ACC)という。
→正しい
自動燃焼制御(ACC)は、圧力や温度を一定に保つために燃料量と燃焼に必要な空気量を自動的に制御する回路のことです。

C 比例動作による制御は、オフセットが現れた場合にオフセットがなくなるように動作する制御である。
→不適当
比例動作とは、制御量と目標値との間の「偏差(ズレ)」の大きさに比例して操作量(ボイラーなら燃料供給量など)を変化させる制御方式で、制御量が目標値に完全に一致する前に操作量が停止してしまうため、必ず一定のズレ(オフセット)が残ってしまいます。
このズレを無くすため、次に説明する積分動作を組み合わせます。

D 積分動作による制御は、偏差の時間積分値に比例して操作量を増減するように動作する制御である。
→正しい
積分動作は、偏差の時間積分値に比例して(制御偏差量に比例した速度で)操作量を増減するように動作する制御です。
目標値と制御量の間にオフセットが生じた場合、この積分動作が偏差をゼロにするように働くため、、比例動作と組み合わせて「比例積分動作」として使います。

ヘタ・レイ

何言ってるかわからない場合は、比例動作はオフセット(ズレ)が残る。積分動作はオフセットを無くすとだけ覚えておけばOKです。

したがって、誤っているのはA,Cの組み合わせとなります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次