2級ボイラー技士 2022年(R4)4月-問2 過去問の解説 【ボイラーの構造に関する知識】

  • URLをコピーしました!

問題

ボイラーの容量及び効率について、誤っているものは次のうちどれか。

1.蒸気ボイラーの容量(能力)は、最大連続負荷の状態で、1時間に発生する蒸発量で示される。
2.蒸気の発生に要する熱量は、蒸気圧力、蒸気温度及び給水温度によって異なる。
3.換算蒸発量は、実際に給水から所要蒸気を発生させるために要した熱量を2257kJ/kgで除したものである。
4.ボイラー効率とは、全供給熱量に対する発生蒸気の吸収熱量の割合をいう。
5.ボイラー効率を算定するとき、液体燃料の発熱量は、一般に水蒸気の蒸発熱を含む真発熱量を用いる。

回答

正解は(5)

1.蒸気ボイラーの容量(能力)は、最大連続負荷の状態で、1時間に発生する蒸発量で示される。
→ 正しい
蒸気ボイラーの容量の定義です。「蒸発量」の部分を別のワードに入れ替えて出題されたりしますので注意しましょう。

2.蒸気の発生に要する熱量は、蒸気圧力、蒸気温度及び給水温度によって異なる。
→ 正しい
蒸気を発生させるために必要な熱量は、圧力や水の温度によって変わります。

  • 圧力の影響
    水の沸点(飽和温度)は圧力によって変わります。圧力が高いほど沸点も高くなるため、蒸気を発生させるために必要な熱量は増えます。逆に圧力が低ければ沸点も低くなり、必要な熱量は減ります。
  • 給水温度の影響
    冷たい水から蒸気を作る場合は、まず水を温めるために多くの熱が必要です。逆に、もともと温かい水から蒸気を作る場合は、必要な熱量は少なくなります。

3.換算蒸発量は、実際に給水から所要蒸気を発生させるために要した熱量を2257kJ/kgで除したものである。
→ 正しい
換算蒸発量とは、ボイラーの実際の蒸気発生量を、100℃の飽和水から100℃の乾き飽和蒸気にするための熱量(蒸発熱)で換算した、ボイラーの能力を表す単位です。
式にすると以下のようになります。

ヘタ・レイ

ボイラーの「能力」を比べるとき、ただ単に「1時間にどれだけ蒸気を作れるか」だけでは、正確には比べられません。なぜなら、ボイラーの種類や蒸気の圧力、入れる水の温度によって、同じ量の蒸気を作るのに必要な熱量が変わってしまうからです。
そこで「換算蒸発量」というものを使います。これは、すべてのボイラーで条件を統一して計算したときの蒸気の量を表す指標です。具体的には「100℃の水を100℃の蒸気にするのに必要な熱量」を基準にして、実際にボイラーで使った熱量から逆算して求めます。
こうすることで、圧力や給水温度が違うボイラーでも、能力を公平に比べられるようになります。
つまり、換算蒸発量はボイラーの“標準的な性能”を表す目安ということになります。

4.ボイラー効率とは、全供給熱量に対する発生蒸気の吸収熱量の割合をいう。
→ 正しい
ボイラー効率とは、ボイラーに供給した燃料の熱がどれだけ蒸気を作るために使われたかを示す割合のことです。
言い換えると、

  • ボイラーに燃料を燃やして熱を与える
  • そのうちどれだけの熱が「水を蒸気にするために実際に使われたか」

をパーセンテージで表したものです。

例えば、100単位の熱をボイラーに供給して、そのうち80単位が水を蒸気にするのに使われた場合、ボイラー効率は 80% になります。
ボイラー効率が高いほど、燃料の無駄が少なく、効率的に蒸気を作れていることになります。

5.ボイラー効率を算定するとき、液体燃料の発熱量は、一般に水蒸気の蒸発熱を含む真発熱量を用いる。
→ 不適当
ボイラー効率を算定する際の液体燃料の発熱量には、一般に水蒸気の蒸発熱を含まない低発熱量(真発熱量を用います。

ちなみに潜熱を含む場合は、高発熱量(総発熱量)といいます。

ヘタ・レイ

ボイラー効率の算定で使うのは低発熱量(真発熱量)!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次