2級ボイラー技士 2022年(R4)4月-問10 過去問の解説 【ボイラーの構造に関する知識】

問題

温水ボイラー及び蒸気ボイラーの附属品に関するAからDまでの記述で、正しいもののみを全て挙げた組合せは、次のうちどれか。

A　　凝縮水給水ポンプは、重力環水式の暖房用蒸気ボイラーで、凝縮水をボイラーに押し込むために用いられる。
B　　暖房用蒸気ボイラーの逃がし弁は、発生蒸気の圧力と使用箇所での蒸気圧力の差が大きいときの調節弁として用いられる。
C　　温水ボイラーの逃がし管には、ボイラーに近い側に弁又はコックを取り付ける。
D　　温水ボイラーの逃がし弁は、逃がし管を設けない場合又は密閉型膨張タンクとした場合に用いられる。

1.	A、B、D
2.	A、C、D
3.	A、D
4.	B、C
5.	B、C、D

回答

正解は（3）

A　凝縮水給水ポンプは、重力環水式の暖房用蒸気ボイラーで、凝縮水をボイラーに押し込むために用いられる。
→正しい
暖房用蒸気ボイラーでは、ボイラー内の水が循環しています。
重力環水式の暖房用蒸気ボイラーにおいて、暖房の用途で使われて熱を失った蒸気は凝縮され水になるため、これを再びボイラーに戻すために凝縮水給水ポンプを使います。

B　暖房用蒸気ボイラーの逃がし弁は、発生蒸気の圧力と使用箇所での蒸気圧力の差が大きいときの調節弁として用いられる。
→不適当
逃がし弁は、ボイラーや配管内の異常圧力上昇時に蒸気や温水を逃がして安全を保つための安全装置であり、圧力差の調節に使用するのは減圧弁です。

C　温水ボイラーの逃がし管には、ボイラーに近い側に弁又はコックを取り付ける。
→不適当
温水ボイラーは、水を加熱すると体積が膨張します。密閉された空間で水が膨張し続けると、内部の圧力が急激に上昇し、ボイラー本体や配管を破損させる危険があります。
逃がし管は、ボイラーや配管内の水が熱膨張によって増えた分を、高所に設けた開放型膨張タンクへ逃がすための配管です。
そのため、途中に弁やコックがついていると正常に圧力を逃がすことが出来なくなるため、配管の途中に弁やコックを設けてはいけません。

D　温水ボイラーの逃がし弁は、逃がし管を設けない場合又は密閉型膨張タンクとした場合に用いられる。
→正しい
逃がし管がない場合や密閉型膨張タンクを設けた場合、圧力上昇時の安全確保のために逃がし弁が必要です。

したがって、A,Dが正しいので３が正解です。