問題
ボイラーの容量及び効率に関するAからDまでの記述で、誤っているもののみを全て挙げた組合せは、次のうちどれか。
A 蒸気の発生に要する熱量は、蒸気圧力及び蒸気温度にかかわらず一定である。
B 換算蒸発量は、実際に給水から所要蒸気を発生させるために要した熱量を、2257kJ/kgで除したものである。
C ボイラー効率は、実際蒸発量を全供給熱量で除したものである。
D ボイラー効率を算定するとき、燃料の発熱量は、一般に低発熱量を用いる。
| 1. | A,B,D | ||
| 2. | A,C | ||
| 3. | A,D | ||
| 4. | B,C,D | ||
| 5. | B,D |
回答
正解は(2)
A 蒸気の発生に要する熱量は、蒸気圧力及び蒸気温度にかかわらず一定である。
→不適当
蒸気の発生に要する熱量(=水を蒸気にするのに必要な全熱量)は、蒸気圧力や蒸気温度、給水温度によって異なります。
ヘタ・レイこれは当たり前のことを言ってますよね。
B 換算蒸発量は、実際に給水から所要蒸気を発生させるために要した熱量を、2257kJ/kgで除したものである。
→正しい
換算蒸発量とは、ボイラーの実際の蒸気発生量を、100℃の飽和水から100℃の乾き飽和蒸気にするための熱量(蒸発熱)で換算した、ボイラーの能力を表す単位です。
式にすると以下のようになります。





ボイラーの「能力」を比べるとき、ただ単に「1時間にどれだけ蒸気を作れるか」だけでは、正確には比べられません。なぜなら、ボイラーの種類や蒸気の圧力、入れる水の温度によって、同じ量の蒸気を作るのに必要な熱量が変わってしまうからです。
そこで「換算蒸発量」というものを使います。これは、すべてのボイラーで条件を統一して計算したときの蒸気の量を表す指標です。具体的には「100℃の水を100℃の蒸気にするのに必要な熱量」を基準にして、実際にボイラーで使った熱量から逆算して求めます。
こうすることで、圧力や給水温度が違うボイラーでも、能力を公平に比べられるようになるんです。
つまり、換算蒸発量はボイラーの“標準的な性能”を表す目安だと考えればわかりやすいです。
C ボイラー効率は、実際蒸発量を全供給熱量で除したものである。
→不適当
実際蒸発量ではなく、「発生蒸気の吸収熱量」を全供給熱量で除したものです。
ボイラー効率とは、ボイラーに供給した燃料の熱がどれだけ蒸気を作るために使われたかを示す割合のことです。
- ボイラーに燃料を燃やして熱を与える
- そのうちどれだけの熱が「水を蒸気にするために実際に使われたか」
をパーセンテージで表したものです。
例えば、100単位の熱をボイラーに供給して、そのうち80単位が水を蒸気にするのに使われた場合、ボイラー効率は 80% になります。
ボイラー効率が高いほど、燃料の無駄が少なく、効率的に蒸気を作れていることになります。


D ボイラー効率を算定するとき、燃料の発熱量は、一般に低発熱量を用いる。
→正しい
ボイラー効率を算定する際の燃料の発熱量には、一般に水蒸気の蒸発熱を含まない低発熱量(真発熱量)を用います。
ちなみに潜熱を含む場合は、高発熱量(総発熱量)といいます。

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