2級ボイラー技士 2022年(R4)10月-問7 過去問の解説 【ボイラーの構造に関する知識】

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問題

ボイラーに用いられるステーについて、適切でないものは次のうちどれか。

1.平鏡板は、圧力に対して強度が弱く変形しやすいので、大径のものや高い圧力を受けるものはステーによって補強する。
2.棒ステーは、棒状のステーで、胴の長手方向(両鏡板の間)に設けたものを長手ステー、斜め方向(鏡板と胴板の間)に設けたものを斜めステーという。
3.管ステーを火炎に触れる部分にねじ込みによって取り付ける場合には、焼損を防ぐため、管ステーの端部を板の外側へ10mm程度突き出す。
4.管ステーは、煙管よりも肉厚の鋼管を管板に溶接又はねじ込みによって取り付ける。
5.ガセットステーは、平板によって鏡板を胴で支えるもので、溶接によって取り付ける。

回答

正解は(3)

1.平鏡板は、圧力に対して強度が弱く変形しやすいので、大径のものや高い圧力を受けるものはステーによって補強する。
→ 正しい
平鏡板は、その形状から圧力に対する強度が非常に弱く、特に大径で高い内圧を受けると大きく膨らんだり変形したりする危険性があります。そのため、破裂や変形を防ぎ安全性を確保するために、ステーと呼ばれる補強材を鏡板の裏側に取り付け、補強するのが一般的です。
鏡板の形状は、平鏡板のほかに、圧力に対して強い皿形鏡板などがあります。曲面を持つ鏡板(全半球形鏡板など)は、平鏡板よりも強度が高いため、ステーによる補強を必要としない場合が多いです。

ボイラーの鏡板の種類

2.棒ステーは、棒状のステーで、胴の長手方向(両鏡板の間)に設けたものを長手ステー、斜め方向(鏡板と胴板の間)に設けたものを斜めステーという。
→ 正しい
棒ステーは平鏡板の強度を補うために用いる補強材で、胴の長手方向(両端の鏡板同士)に用いるものを「長手ステー」、鏡板と胴の間に用いるものを「斜めステー」といいます。以下の画像を見るとイメージがしやすいと思います。

3.管ステーを火炎に触れる部分にねじ込みによって取り付ける場合には、焼損を防ぐため、管ステーの端部を板の外側へ10mm程度突き出す。
→ 不適当
管ステーとは煙管を使うボイラーに設置されるステーで、普通の煙管よりも肉厚の鋼管が用いられます。煙管と補強材両方の役割を果たします。
なお、管ステーの端部が燃焼ガスに直接触れると、温度が上昇しすぎて焼損する危険性があります。
そのため、安全性を確保する一般的な構造として、ステーを管板に固定する際に、ステーの端部を管板の外側へ突き出すのではなく、縁曲げを行って管板と一体化させることで温度の上昇を抑制し、焼損を防ぎます。

4.管ステーは、煙管よりも肉厚の鋼管を管板に溶接又はねじ込みによって取り付ける。
→ 正しい
管ステーは、ボイラーの強度を上げる目的で一般に通常の煙管より肉厚な鋼管が使われ、管板へ溶接またはねじ込みで取り付けます。

5.ガセットステーは、平板によって鏡板を胴で支えるもので、溶接によって取り付ける。
→ 正しい
ガセットステーは板状の補強部材で、鏡板を胴で支える目的で溶接等により取り付けられます。
なお、炉筒も鏡板もボイラーの熱により伸縮するため、その伸縮を逃がすためにガセットステーの取り付け部と炉筒の間に隙間(ブリージングスペース)を設けます。

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