2級ボイラー技士 2022年(R4)10月-問6 過去問の解説【ボイラーの構造に関する知識】

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問題

ボイラーの送気系統装置について、誤っているものは次のうちどれか。

1.主蒸気弁に用いられる仕切弁は、蒸気の流れが弁体内でY字形になるため抵抗が小さい。
2.主蒸気弁に用いられる玉形弁は、蒸気の流れが弁体内部でS字形になるため抵抗が大きい。
3.減圧弁は、発生蒸気の圧力と使用箇所での蒸気圧力の差が大きいとき、又は使用箇所での蒸気圧力を一定に保つときに設ける。
4.蒸気トラップは、蒸気の使用設備内にたまったドレンを自動的に排出する装置である。
5.長い主蒸気管の配置に当たっては、温度の変化による伸縮に対応するため、湾曲形、ベローズ形、すべり形などの伸縮継手を設ける。

回答

正解は(1)

1. 主蒸気弁に用いられる仕切弁は、蒸気の流れが弁体内でY字形になるため抵抗が小さい。
→不適当
仕切弁(ゲート弁)は、弁体を完全に引き上げて蒸気の流れを直線にするため、流れの抵抗が最も小さいのが特徴です。「蒸気の流れが弁体内でY字形になる」のは、Y形弁の特徴です。
以下は各種弁のイメージです。仕切弁は弁体(流体の進行を防ぐもの)を上げた時に、管路の流れを邪魔するものが無いため抵抗が一番小さくなります。

仕切り弁
出典:富士電機
各種弁
出典:総合バルブコンサルタント

2. 主蒸気弁に用いられる玉形弁は、蒸気の流れが弁体内部でS字形になるため抵抗が大きい。
→正しい
玉形弁(グローブ弁)は弁体が流路の中央に位置し、弁を全開にしても流体は弁体を避けてS字状に流れるため、流体抵抗が大きくなります。
その反面、流量の微調整が得意です。

玉型弁(抵抗大)
出典:富士電機

3. 減圧弁は、発生蒸気の圧力と使用箇所での蒸気圧力の差が大きいとき、又は使用箇所での蒸気圧力を一定に保つときに設ける。
→正しい
減圧弁は、上流と下流で大きな圧力差がある場合や下流圧力を一定に保ちたい場合に設置します。

ヘタ・レイ

減圧っていうくらいなので、圧力を下げるために使われることは何となくわかると思います。

4. 蒸気トラップは、蒸気の使用設備内にたまったドレンを自動的に排出する装置である。
→正しい
蒸気トラップは、蒸気配管や使用設備内に発生する復水(ドレン)を自動的に排出する装置です。
ドレンがたまると熱効率が悪化し、設備の故障や腐食の原因になるため、蒸気トラップは非常に重要な役割を果たします。

蒸気トラップ
出典:コイデン

5. 長い主蒸気管の配置に当たっては、温度の変化による伸縮に対応するため、湾曲形、ベローズ形、すべり形などの伸縮継手を設ける。
→正しい
主蒸気管は高温の蒸気が流れるため、運転中に温度が大きく上昇し、その熱によって管が熱膨張(伸縮)します。この大きな伸縮を逃がさないと、配管や接続機器に過度な力がかかり、破損や漏れの原因となります。そのため、配管の破損を防ぐために、湾曲形、ベローズ形(蛇腹状)、すべり形などの伸縮継手を設けて、その伸縮を安全に吸収させる必要があります。

下の画像のようなベローズ形継手は、蛇腹構造によって伸縮性に優れており、主蒸気管の伸び縮みに柔軟に対応できます。

ベローズ継手
出典:三元ラセン管工業株式会社
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