2級ボイラー技士 2023年(R5)4月-問3 過去問の解説【ボイラーの構造に関する知識】 

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問題

丸ボイラーと比較した水管ボイラーの特徴として、誤っているものは次のうちどれか。

1.構造上、低圧小容量用から高圧大容量用までに適している。
2.伝熱面積を大きくとれるので、一般に熱効率を高くできる。
3.伝熱面積当たりの保有水量が小さいので、起動から所要蒸気発生までの時間が短い。
4.使用蒸気量の変動による圧力変動及び水位変動が大きい。
5.戻り燃焼方式を採用して、燃焼効率を高めているものが多い。

回答

正解は(5)

丸ボイラーは、大きな胴(ドラム)の中に水があり、その中を燃焼ガスが通る煙管(または炉筒)が配置されている構造です。ボイラー本体に大量の水が入っていることが特徴です。

丸ボイラー
出典:厚生労働省

水管ボイラーは、先ほどの丸ボイラーと違い、水は水管やドラムの中にしかないため、丸ボイラーと比べると保有水量は少なくなります。

水管ボイラー
出典:モノタロウ

1. 構造上、低圧小容量用から高圧大容量用までに適している。
→ 正しい
水管ボイラーは、たくさんの細い水管を使って水を加熱する構造のため、管の本数増減することで小型・低圧から大型・高圧まで幅広く対応できる柔軟性があります。
一方、丸ボイラー(炉筒煙管ボイラー)は大きな胴の中に水を入れて加熱する方式で、主に低圧・小容量の用途に適しています。

2. 伝熱面積を大きくとれるので、一般に熱効率を高くできる。
→ 正しい
水管ボイラーは細い水管を多数配置できるため、同じ大きさでも伝熱面積を大きく取ることができます。伝熱面積が大きいほど効率よく熱を水に伝えられるため、熱効率を高くすることが可能です。丸ボイラーは伝熱面積に限界があり、効率面で水管ボイラーに劣ります。

3. 伝熱面積当たりの保有水量が小さいので、起動から所要蒸気発生までの時間が短い。
→ 正しい
水管ボイラーは水管の中に水が分散しているため、全体の保有水量が少なくなります。これにより、加熱を始めてから蒸気が発生するまでの時間(起動時間)が短く、運転の立ち上げが迅速です。丸ボイラーは大きなドラムの中に大量の水が入っているため、起動に時間がかかります。

4. 使用蒸気量の変動による圧力変動及び水位変動が大きい。
→ 正しい
水管ボイラーは保有水量が少ないため、蒸気の使用量が急激に変化すると、ボイラー内部の圧力や水位も大きく変動しやすいです。
一方、丸ボイラーは保有水量が多いため、使用蒸気量の増減に対応しやすくなっています。

5. 戻り燃焼方式を採用して、燃焼効率を高めているものが多い。
→ 不適当
戻り燃焼方式は、炉筒煙管ボイラーで使われている方式です。燃焼ガスを炉筒の端で反転させることで、燃焼時間を長くし燃焼効率を高めることができます。

丸ボイラーと水管ボイラーの比較ポイント

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